私が歩いている前後には通勤、通学の人。
私が歩いている向かい側にも、通勤、通学の人。
人目を気にしていてはできない、ジェスチャーだったが、
不思議と気にはならなかった。
彼女が送ってくれる“なにか”に動かされたのだ。
私が手を振ったとたん、彼女の不安な顔色は一変!
満面の笑みがこぼれおちた。
バスの中で窓にへばりつき、一生懸命、何度も手を振ってくれている。
それに応えるように、私も手を振り返した。
環七通りが渋滞のため、私が歩くスピードとバスの進むスピードはほぼ同じ。
バスが私と並ぶたびに、彼女は私に手を振る。私も振り返す。
長い人生の中での一瞬の出会い。
「この出会いが、彼女の人生の1ページに、ステキな思い出として書き加えられますように」
そんな気持ちがふとわいてきた。そんなことを念(おも)いながら、手を振った。
駅も近くなり、バスといよいよ別れるその瞬間!
“なにか”と笑顔が、さっき以上にたくさん私に届けられた。
彼女一人ではなく、バスの後方に乗っている何人もの学生の笑顔。
たくさんの学生が手を振ってくれている。
心がポッと温まった。
見知らぬ彼女らと、言葉がない中で交わした“なにか”。
彼女たちは、普段忘れがちな“なにか”を私に届けてくれた。
私が彼女に手を振ってあげた、のではなく、
彼女が私に、手を振ってくれたのだ。
言葉では言い表せない“なにか”を味わわせてもらった。
あえて言葉にするのであれば“よろこび”という言葉になるかもしれない。
出会いは“宝”。
一瞬の出会いを“宝”にしていけるよう、
やわらかな心で、おおらかに日々歩いていこう!(私へ)。
大切な“なにか”を届けてくれてアリガトウ!(彼女へ)。
今井康予(青年本部)
2006.05.11 update |