| 「厳しい条件は今も変わらないが、前より苦しみが軽くなりました」。
先日、Aさんが私にこんな言葉をかけてくれた。Aさんは母親を亡くし、治ることがないといわれる病気とも闘っている。つらいこともたくさんあるだろうが、本当に本当に頑張っている。
なぜ、そういう言葉が出るのか。
それは、ちょっとした心の違いにあるのではないかと思う。
日頃、「楽しい人生を送りたい」と思っているか、「楽しく人生を送りたい」と思っているかの違い。ちょっとした“い”と“く”の価値観の差が、努力の方向を大きく変えてしまう。
「楽しい人生を送りたい」という生き方の場合、今の状況に満足がいかず、常に条件をつけていく。例えば、旅行をしたい、買い物をしたい、マイホームを買いたい、そして、人から愛されたい、地位や名誉を得たい……。現在、自分が持っていないものを手に入れないと満足をしない生き方になる。きっと、いつまでも満足できず、あくせくする人生だろう。仮にちょっと何かを達成することができても、すぐに不平不満の世界に戻ってしまう。なぜなら、次々に別の欲しいものが、心の中に湧き出すから。
しかし、「楽しく人生を送りたい」では、話が違ってくる。今、与えられた条件の中で楽しくなることを探す、という生き方だ。「私がこうしていられるのも、親のお陰さま」「今こうやって、食事ができるのも多くの方の支えがあるからこそ」。そんな「ありがたい」と思えることを探していくのだ。そして、「ありがたい」ことは意外と多いものだ。これはすぐにできるし、どんな人にでもできる生き方だ。
幸せはモノや金では得られないと思う。今ある条件や環境の中にも、幸せは十分にある。幸せとは感じるもの、実感である。幸せを感じられるような心を持つ。その心を磨けば磨くほど、幸せになれるに違いない。
Aさんは、幸せを感じられる心を持っている。幸せを感じられるような努力と実践をしているのだと思った。
本園(南九州教区)
2005.10.28 update |