| 出発当日、時計の針を横目で見ながら荷物をスーツケースに詰め込んだ。いざバリ島へ――その矢先、空港で2つの忘れ物に気づいた。でも熟年夫婦の約束事は「お互いに相手を責めないこと!」、そして「言葉に出して確認しよう!」。さすがである。
バリ島では、「ボーッとして過ごそう」から「何でもやってみよう」に急きょ予定を変更した。『赤ちゃんのようなスベスベのお肌を取り戻しませんか』という“スパ・エステ”のキャッチフレーズについ心が傾く。
「今さら無理なんじゃないの!」という夫の忠告を無視して決断。当日、ホテルのロビーにタクシーが迎えに来た。言葉も分からず、一人で車に乗ること15分。「このままどこかに連れていかれたらどうしよう……」と急に不安が込み上げる。いざという時には「お九字」でも切ろうかと車の中で真剣に考えていた。
スパ&エステは初体験。フラワーバスの中に入り、これで単純にも夢心地。120分があっという間に過ぎてしまった。予定より1時間遅れてホテルのロビーに帰着。真正面のエスカレーターのドアが開き、出てきた主人に上機嫌で「ハァ〜イ」と手を振った。「ハァ〜イじゃないよ! 1時間も遅れているから捜索願いでも出そうかとフロントに行くところだった」と夫は少々おかんむり。心配してくれたのかな、とまんざらでもなかった。
次の日にはスキューバダイビングをした。昨日のエステの肌は半日海水に浸かり、もとの○○才の肌に。「1回じゃ無理。何日か続けていかないと」と少々負け惜しみを言ってみた。ただ、計画性のないスケジュール組みに、後悔しきり。そのまま赤ちゃんの肌(?)で帰って来たかったのに……。
ダイビングでは、パンくずをまくと熱帯魚が寄ってくる。餌と間違えたのか、夫の小指が噛まれてしまった。初めての体験は、思い出と共に夫の指に熱帯魚の歯形も残した。まるで竜宮城に来たような感激を味わい、インストラクターに思わずチップを渡した。「え! 私に?」とビックリした様子。それもそのはず、後で計算したら、現地の平均月収の5分の1近くの額を渡していた。それじゃあうれしいはずだ。こちらは少しガックリ。
そんな珍道中の7泊8日。「結婚40周年、50周年……。ドタバタしながらも元気に迎えられたら」と念じつつ、無事に帰国の途に着いた。
石井(青年本部)
2005.09.15 update |