| あるバザーにお役で参加したときのことだ。
僕は、りんごジュースを売っていた。りんごジュースそのものはとてもおいしかったが、なかなか売れ行きは伸びなかった。試飲をしたお客さんの多くが「とってもおいしい」と言ってくれたが、持ち帰るにはビンが重いためか、実際に買ってくださる人は少なかった。
そのとき、同じ店の中でお役をされていた一人のおばあちゃんが、私の近くに寄ってきてジュースを試飲した。「おいしいねぇー」とにっこりして、「じゃあ、私も一本買わせてもらうよ」と、りんごジュースを買ってくれた。その後、おばあちゃんはお客さんに試飲を勧めている私のそばに来ては、「このジュースはおいしいよねぇ」「私も買ったんだよ!」と繰り返し言ってくださった。おかげで、何人もの人がジュースを買ってくれた。
それまでは、あまり売れていなかったので、おばあちゃんの一言がとてもうれしく感じられた。おばあちゃんはきっと、私を励まそう、助けようとして言ってくださっていたのだろう。
そのときの私は、おばあちゃんに対して、ざっくばらんな普通のおばあちゃんというイメージを持っていた。しかし後日、他の方からお話を伺い、そのおばあちゃんが、昔から佼成会を支えてきた大幹部さんであることを知った。目立つこともなく、注目を浴びることもなく、ひたすら目の前の人を喜ばせようと実践されている姿に、私は自分が恥ずかしくなった。
私はいつも周りの人が自分をどう思っているか、自分をどう評価しているかが気になってしまう。心のどこかで、自分がしたことを認めてほしいとも思っている。
おばあちゃんとの出会いを通し、私は大切なことを学ばせて頂いた。周りの人がどう思おうが、自分が正しいと思ったことを精いっぱいやっていくこと。どんなときにも、目の前の人が喜んでくださることをさせて頂くこと。このことを心に刻んだ。たった一人の人と心を通わせることができたときに、本当に喜べる自分になりたいと思う。
私が奉職させて頂いたとき、ある方がおくってくださった言葉を思い出した。
「人が見ていないところで、誰にも気づかれないことを心の底から喜んでできる自分になれたとき、ほんものになれる」
まだまだ私には難しい。だが、努力を続けたいと思う。
松井(青年本部)
2005.05.12 update |