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『ゴールンデンウイークは楽しかったですか? 昨日、新幹線の中では乳飲み子を連れて大変だったでしょう。(中略)家族中の健康が第一!!また家族中で会える日を楽しみにしています』
父が私にくれたメール。こうした内容のメールが届くようになって1年になる。

私が車で事故を起こした時、私が体調を崩した時、さまざまにへこむ場面でメールをくれる父。<この一通のメールの為にいっぱい時間を使ったんだろうなぁ>。文面を見て、父の会社での姿、畑の面倒をみる姿、そしてメールを打つ様子を思い、私は返信する。

『お疲れさまです。亀山家は一気に騒がしくなりました。みんな元気です』
味もそっけもない文章。本当はもっともっと言いたいことがあるのに、こんな文しか送れない。テレなのか。

父と畑に行ったときのことを思い出す。ナス、トウモロコシ、ジャガイモにラッキョウ……。畝(うね)に等間隔で並ぶ野菜たち。笑いながら、「お前、これ何か分かるか?」と一つひとつの苗木を指差して、父は私に問いかけた。私が答えられたのは、ナスの苗木だけ。「お前は昔から、畑のセンスがなかったからなぁ」と、一杯入った夕食の席で言われた。

畑を手伝った経験のある私としては、もっと分かっているつもりだった。そんなことを父に言い訳し、畑談義は続いた。食卓には今朝収穫したイチゴが並び、ちょっと酸味が強いが、そこがまたよいところなんだ、というような話をして、それぞれが席を立った。

父は還暦を迎えると同時に、18歳から40年間勤め上げた会社で定年退職を迎える。感傷などは一言も口に出さず、気さくに振舞っている。「夫婦での記念旅行はどこへ行こうか」。父と母のそんな会話を聞きながら、私はこの家に産んで頂いてよかったと思った。私もまた、子供から「この親でよかった」と言ってもらえるような父親になりたい。父の姿から学ぶことは、まだまだたくさんある。

“親の言葉とナスの花には千に一つの無駄もない”という言葉を母から教わった。ナスの苗木が分かるだけでは、まだ父の思いを十分にくみ取ることはできないのだろう。

北九州教区教務員 亀山委久伸


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