今年の2月、東京教区の大学生たちとカンボジアとタイへ研修旅行に行ってきました。タイは以前に訪れたことがありますが、カンボジアに行くのは初めてなので、とても楽しみにしていました。7泊8日の行程の中、カンボジアのアンコールワット遺跡やタイの王宮・エメラルド寺院など、世界遺産に指定されている観光名所もいくつか見学させて頂きました。しかし、私が心に衝撃を受けたのは全く違う場所でした。
タイ・ロップブリ県にあるハバナフ寺院。そこは医者から見放され、家族や社会からも見放された多くのエイズ末期患者が収容されている場所でした。話にしか聞いたことのないエイズという病に冒された人たち。その人たちはどんな状態なのだろうか。私たちはこれから何を見、何を聞くのか。これからどんな現実が自分たちを待ち受けているのか。寺院への訪問を前に、私たちの頭には言い知れぬ不安がよぎり、表情が強張りました。
しかしその不安は、病室に足を踏み入れ、彼らと会った瞬間に解消されました。実際に患者さん方とお会いし、触れ合ってみて感じたのは、「何も特別な人たちではない、同じ人間なんだ」ということでした。身体に触れ、会話を交わしてみると、彼らは目を輝かせながら丁寧に、そして純粋に私たちを受け入れてくれました。
死と向き合い、自分と向き合っている彼らは、いったい何を思って日々を過しているのだろうか。なぜあんなに純粋な笑顔でいられるのだろうか。自分がもし同じような状況におかれたら、果たしてあのように明るく来訪者たちを受け入れることができるだろうか。彼らとの出会いを通して、生きるということはどういうことなのか、そして、今頂いているこのいのちをどう使うべきなのかを真剣に考えさせられました。〈このままではいけない。何かしなくては!〉という焦りと衝動を心の底から感じました。
このほか、ポル・ポト政権時代のわずか3年8カ月の間に、200万人を超す罪のない人々が虐殺されたカンボジアでは、慰霊供養を行いました。ミャンマーとの国境近くのタイ・カンチャナブリ県では、戦争捕虜たちが過酷な環境の中でジャングルを切り開き、岩山を削って建設した鉄道と木橋を見学しました。また、劣悪な環境のスラムに暮らす子供たちとの交流を行ったり、両国を代表する歴史的な建造物も訪ねました。素晴らしい出会いがたくさんあり、同時に思い出に残る経験をたくさんさせて頂きました。団長さんをはじめ一緒に旅をした仲間との触れ合いもまた、大切な思い出として心にしっかりと残っています。
わずか1週間あまりの旅でしたが、本当に中身の濃い、一生の思い出に残る素晴らしいものとなりました。これを機に、より多くの方々にカンボジアとタイの素晴らしさ、佼成会の仲間の素晴らしさ、そして平和の素晴らしさを伝えていきたいと思います。
東京教区教務員 鈴木教晋 |