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上京して10年を迎えようとしています。上京したてのころは、出かけようにも電車の乗り換えや乗車口が分からず、右往左往していました。今では、どの車両のどのドアから乗れば乗り換えに便利だとか、出口が近いかということまでわかるようになり、ギリギリの時間に出発しても目的地に到着できるようになりました。

先日、買い物に出かけた時のことです。いつものとおり、〈この車両のこのドアなら降りた時に便利〉と考えながら、駅に入ってきた電車に乗り込もうとしたところ、乗り口がいつもの場所からずれていました。電車のドアはなかなか開きません。数秒のことでしたが、急いでいたこともあり、とても長く感じられました。すると電車はドアを閉じたまま、じりじりと数十センチ動きました。「ドアが停車位置からずれたので調整します」とのアナウンス。やっとのことで、電車に乗り込みました。そして、買い物を済ませ、駅で帰りの電車を待っていたところ、先ほどと同じことが再び起こったのです。「電車の停車位置がずれたので調整します」。

1日に2度、同じ出来事と遭遇した私の心の中に、「?」がたくさん浮かびました。〈どうしてだろう? 何かのメッセージかな〉と思いました。電車を降り、家までの道をトボトボと歩き出した私は、自分の中の「?」と向き合ってみました。〈自分の進もうとしている方向が少しずれているのかな?〉と、ふと感じました。直感でした。

ちょうど、住み慣れた今の寮を、春に入ってくる新しい後輩に譲らねばならず、引っ越し先をどうしようかと悩んでいる時でした。早速、本部長さんにご指導を頂戴して、自分の今後の進み方を教えて頂きました。実は、自分でも方位を見て、アパートを探すつもりでいました。ところが、急きょ、次の寮がお手配になりました。引っ越しによい日も教えて頂きました。

「引っ越しも簡単なようですが、方位を見ても、なかなかよい日に動けない方がほとんどです。今回は、はからいにのってみようと思えたことが、はからいなのですね。普通なら自分の都合で、好きな時に好きなところへ引っ越すのですから」と、本部長さんは言われました。私も自分の都合や自己中心な考えで引っ越しを決めてしまうところでしたが、目の前で2度も電車の停車位置がずれたことで、本部長さんにご指導を頂戴しようという気持ちになりました。そのおかげで、仏さまの願いに近い道を教えて頂けたのだと思います。仏さまのあたたかさ(はからい)に気づき、はからいの流れにのってみると、気持ちもスッキリ、いろいろなことがスムーズに流れていきました。

大きな事件が起きてから、〈なんでだろう? どうしてだろう?〉と考えたり、後悔したりするのではなく、普段から一瞬一瞬を精いっぱいに生き、仏さまからのメッセージをいつでも受け取れるようアンテナを高く上げていこうと心に決めた一日でした。
「たかが、電車の停車位置がずれた…」「されど、電車の停車位置がずれた…」――仏さまからのメッセージなんですね。

(Y.I)


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