息子が4歳になった。おそらく日本全国のヤングパパさんが体験されているであろう「ヒーローごっこ」が、時折わが家でも展開される。息子は正義の味方、私は怪獣。息子にメタメタに倒されながら、幼いころ、自分も怪獣(父)と戦っていた日々を懐かしく思い出す。“歴史は繰り返される”ようだ。
息子と一緒に、「特撮ヒーロー番組」のビデオを観ると驚かされることがある。まずは変身前の俳優の格好よさ。現役のモデルが演じており、主婦層からの人気も高く社会現象になるほどだ。さらに「変身」シーン。携帯電話にコードナンバーを入力して変身するなど、時代の流れをふまえた演出がされているのも興味深い。
私自身が三十路半ばを迎え、昔とは違った視点で、こうした番組をとらえるようにもなった。心ひかれるのは「スーツアクター」の存在である。
「スーツアクター」とは各種ヒーローの着ぐるみに入ってアクションを演じる方々のことだ。全国の子供たちは、ヒーローのアクションシーンには胸を躍らせるが、それを演じている着ぐるみの中の人間にはまったく関心がない。彼らは、決して自分の顔を見せることなく、名前を知られるわけでもなく、黙々とアクションを通して夢を与える。しかも、表情が出ない分、一挙手一投足によるさらに細かい表現が要求されるため、撮影には手抜きが許されない。スケジュールもハードで、中には親の死に目にあえない方もいるそうだ。
なんと凄まじい「陰役」だろうか。まさにヒーローという「大木」を支えるどっしりとした「根っこ」の部分だ。他人からの評価を気にしがちな私は、彼らに尊敬と憧れを覚えずにはいられない。スーツアクターのように、黙々と力強く陰役のできる自分になっていきたいと思う今日この頃である
(A.S) |