| WCRP日本青年部会事務局長
立正佼成会青年本部長
松本貢一
韓日青年交流会における基調講演のお手配を頂きまして、誠に有難うございます。私は昨年の12月より、WCRP日本青年部会事務局長のお役を頂いております、立正佼成会青年本部長の松本貢一と申します。
1990年から継続して開催されているこの韓日青年交流会が、この度で第8回目を迎えたことは本当に素晴らしいことと思います。そして、今までこうして続けてこられた韓日両国の先達方の平和への情熱に心から感謝をさせて頂き、その志を大切にしながら精進させて頂く所存でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
さて、この度の講演のテーマとして「日本から見つめる韓国」を頂いております。そのことを考える前にまず、私たち日本と韓国は別々の国ではなく、もともと同じルーツを持つ者同士ということを心に刻みたいと思います。
太古の昔、韓半島と日本列島は地続きであったと言われています。そして、その後、海水位の上昇等によって現在のような地形になっていると言われているのです。また、今でこそ、韓国と日本は言葉や文字、風俗、習慣、国家体制を異にする存在となっておりますが、西暦1200年頃までは韓半島と日本列島の住民はお互いに自由に行き来していた上、通訳なしで、何不自由なく意思を通じ合うことができたと言われています。いわば、一つの文化圏のような連帯があるのです。
20世紀半ば以降、歴史学、考古学、文化人類学、言語学などの目覚しい発展につれて、日本民族は韓民族同様、北方モンゴロイドを主流とし、日本語も韓国語と同様にアルタイ語族系であることが明らかになってきました。つまり、もともと同じ民族であったといえると思います。
そうした日韓関係の中で、双方の間では友好、親善に徹した仲睦まじい時代もあれば、刀を交え憎悪を募らせた不幸な時代もありました。とりわけ20世紀前半の悲惨な出来事は、私たち日本の宗教青年が決して忘れてはならないことと思います。宗教者として、その悲劇を懺悔の心で受け止めさせて頂きます。
日本にとって韓国は、兄弟関係の国、いわばお兄さんの国であります。日本の文化のもとを辿れば、韓国から日本にもたらされてきたものがたくさんあります。例えば、仏教も今から2500年前にインドで起こりましたが、6世紀に韓半島の百済国より日本にもたらされました。宗教だけでなく芸術、音楽、お茶、医学、陶芸等の私たちの日常生活全般に深い影響が及ぼされています。つまり、今の日本は、韓半島に住む方々がいらっしゃらなかったら成り立っていなかったと言うこともできるのです。その意味で、私たち日本人は、韓国の方を「兄」と思い、尊敬、感謝の念を抱いております。
現在、日本では「冬のソナタ」に代表されるように、韓流ブームが起きています。また、その事実を裏付けるように年間、150万人もの日本人が韓国を訪れております。こうしたことの背景には、日本人の心の中にもともと、韓国の方々に対する親近感があり、「兄の国」として、さらにはもともと同じルーツをもつ国としての一体感があるからではないでしょうか。
いろいろな意味において、両国の間には、近いがために難しい問題が起きてきました。しかし、それらの問題の根底には、お互いの、不信感があったのかもしれませんし、もっと奥には、相互理解がなされていなかったためかもしれません。「誰が食べたかわからない食べかけのおにぎりは、汚く見え食べられないが、誰が食べたのかがわかれば、そのおにぎりは食べられる」ということを聞いたことがありますが、まさにお互いのことをよく知るということが、すべての問題解決の重要な要素だと思います。その意味で、コミュニケーションを密にすることが非常に大切であり、この韓日交流会が8回続いた意義はそこにあると思います。
現在、私たちの周りには難問が山積しています。核兵器の問題、地域紛争、環境問題、領土問題等、政治、経済、軍事、外交といった幅広い分野の問題が存在します。そうした中で、私たち宗教青年は、どのような行動をとらなければならないでしょうか?
私どもWCRP日本委員会の白柳誠一理事長は、そのような政治・経済の問題を宗教者が論じることも大切だが、もっと大切なこととして、宗教者として、宗教者しかできない行いをしていく必要性を呼びかけています。それは、次のようなことです。
「宗教というのは、人間と神仏との関係、人間同士の関係を律するものだと思います。宗教家というのは、それに奉仕する者でありましょう。例えば仏教であったとすると、お釈迦さまが何を説いてくださったかを伝えていき、人間を変えていくという大きな使命があると思います。キリスト教なら、キリストの名において信徒を変えていくということです。皆、平和について教え、愛し合ったり、慈悲をかけ合ったり、赦し合うということを教えて下さっている訳です。(中略)専門的なことよりも、その時代のトピックを通して今の時代に必要な霊性、もしくは精神構造というか、例えば『赦し合う』『互いの負い目を担い合う』『お互いに人を大切にし合う』とかの根本的な価値を更に力説していく必要があるような気がいたします」と述べられています。
この白柳理事長のご指導をかみしめると、今ほど、宗教青年による平和活動が求められている時はないと思います。現在は、政治上の交渉や外交が滞っており、まさに人類の生存の危機が迫っているように思います。政治や外交で難しいならば、宗教者による平和構築で、平和への砦を築くことが求められています。
WCRPWナイロビ大会の時、青年の翼に参加させていただいた私は、私どもの教団の庭野開祖に直接ご指導いただくチャンスを得ました。「立派な理論を言う人はたくさんいるが、本気になって行動する人は少ないのです。本気になってやらなければこういう活動は続きません。青年が団結して行動していくことが大切ですよ」。今このお言葉が私の胸に熱くよみがえり、大きな力を下さっています。
2006年に第8回WCRP世界大会が日本の京都で開催されます。私たちはこの時を宗教青年による平和活動を真剣に行う大事な機縁と考えております。このWCRP世界大会と同時期に、世界中の宗教青年が集い、世界が直面している諸課題を次世代を担う青年が本気になって討議し、徹底的に意見を交し合い、具体的な行動が導きだされるような、青年世界大会を開催したいと思い準備をすすめております。そのためには、できるだけ幅広く、多くの宗教青年の意見を集約し、2006年の青年世界大会に反映させることが不可欠です。そうした意味において、本年はアジア、中東等で青年会議を開催し、本気の話し合いをさせて頂きます。また、今回のこの出会いも、世界の宗教青年が平和に向けて立ち上がっていく動きにつながるものと確信しております。
同じ、平和を愛する兄弟として、一緒に努力してまいりましょう。
(05.03.01
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